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Elvis Costello

 

 1998年の8月。確かレコード会社の応接室で撮影した。1時間程の取材時間の内、インタヴューの後の残り10分程が与えられた撮影時間。

 2台のカメラにポジとモノクロのフイルムを詰める。インタヴュー中にストロボをセッティングしておいて、用意した背景の前に座ってもらう。

 最初にモノクロのポラを一枚。本人に見せて、ライティングのイメージを確認してもらう。この時は「good」だったか「good job」だったか言葉を貰った。

 アップめから少しずつ引いた写真に。ポジとモノクロ合わせて36枚撮り一本を少し超える程のカットを撮る。

 撮影前は逃げ出したいほど緊張もするけれど、撮影中は短い時間だけれど被写体の時間を独占できる幸せ。レンズを介して向き合う時間は濃密だ。

 この写真に写ったコステロの前に、カメラを構えた38歳のボクが居る。こうして写真を見ていると、カメラマンという職業はなんて素敵なんだろうと思う。

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