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 何年も使われることなく、部屋の隅に放っておかれた4x5(シノゴ)のカメラ。4インチx5インチの大きなフィルムに、東京の風景を撮ってみようかな。

 2002年の春に思い立って、街に担いで出た。

 これらの写真を撮ってから十数年が経った。浅草の東映は既に無く、再開発中だった新宿の富久町は平成27年度に完成する予定だ。

 築地市場の移転先として建設されている豊洲市場は、完成を目前にして土壌汚染対策として予定されていた盛土が行われていなかったことが発覚し、現在移転を巡って紛糾している。

 土地は生き物だ。絶えずスクラップ&ビルドを繰り返し生まれ変わっている。ここに掲載した写真は、2002年から2005年にかけて通り過ぎた東京の断片。その欠片を繋ぎ合わせて構築した、ある時代のレイヤーのようなものだろうか。

(2016年9月 富山にて)

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